けいれん発作を主訴にCT検査を行った犬の脳腫瘍(髄膜腫) (ここをクリック)
ゆじ動物病院がお届けする症例紹介・CT機器・眼科手術レポート紹介。けいれん発作を主訴にCT検査を行った犬の脳腫瘍(髄膜腫) (ここをクリック) (2015-12-14)について
--ゆじ動物病院-- 症例紹介・CT機器・眼科手術レポート
2015/12/14 掲載!
犬の脳腫瘍(髄膜腫)について
・髄膜腫とは
髄膜腫は脳の外側、頭蓋骨の裏側にある硬膜という膜から発生する腫瘍。つまり脳そのものから生じる腫瘍ではなく、脳の外側から発生して脳を外側から圧迫する。
・髄膜腫の発生率
髄膜腫は脳腫瘍の中で最も多い腫瘍。
犬の脳腫瘍全体の45%(猫は80%)(人は20数%、年間1万人に1人発症)
・良性/悪性
ほとんどの場合組織学的には良性。だが稀に急速に大きくなる悪性髄膜腫もあり、これは転移することもある。
人や猫では完全な外科摘出で根治可能と考えられているが、犬ではやや浸潤性が高く、外科的な完全摘出や根治が困難とされる。
・症状
脳の圧迫症状つまり食欲低下、嘔吐、頭痛(痛みのために鳴く、ひっかく、頭を振る、家具等で頭を擦る)。
さらに圧迫が進むと痙攣(最も一般的な症状の一つ、犬の脳腫瘍の45%に見られる)、
認知症のような症状(急に攻撃的になる・ひっきりなしに吠える)、歩行障害(不安定歩行・段差を登れない)、
視覚・聴覚・嗅覚障害。
・治療
治療の基本は手術により腫瘍と周囲の硬膜を摘出。(ただし手術後も痙攣発作が残ることもある)
手術以外の治療法は放射線療法(周辺の脳が腫れたり機能障害をおこすこともある)や
ステロイドなどによる対症療法。
組織学的には大部分が良性なので増殖スピードは遅く、他の部位への転移もないが、少しずつ大きくなる。
症状がある場合は治療が必要。
無症状の場合も小さいうちに取り除く方が良く、合併症発生率も少なくなるため、どのタイミングで手術を行うかの判断が重要。
・合併症
腫瘍周囲の脳の障害、腫瘍周囲を走行する神経の障害、腫瘍周囲の血管の障害、術中出血の合併症、脳脊髄液循環の障害、感染症、全身麻酔に伴う合併症、骨切開・皮膚切開に伴う合併症(美容面も含めて)
・予後
1、緩和療法(ステロイド、利尿剤、抗痙攣剤)
脳腫瘍全体 :中央生存期間6〜119日
2、外科手術
犬の髄膜腫 :中央生存期間138〜230日
猫の髄膜腫 :中央生存期間485〜830日
3、放射線
放射線単独
脳腫瘍全体 :中央生存期間140〜370日
外科手術との併用
脳腫瘍全体 :中央生存期間300〜1150日
※緩和療法で3.9ヵ月、外科手術のみで7ヵ月、外科+放射線で18ヵ月との報告も。